熊野権現の塚の、キリシマツツジが満開です。このキリシマツツジは、樹齢200年超で松戸市の保護樹木になっています。
キリシマツツジは、屋敷の外、道路からも見えます。
関さんのお庭にはカヤの木が多いのですが、熊野権現のご神木として植えられているのかもしれません。
今、カヤの花が咲いていますが、カヤは裸子植物なので、花は地味です。カヤは雌雄異株です。
下の写真は雄花。カヤは風媒花で、大量に花粉を飛ばします。
下の写真は雌花。裸子植物なので、花弁や子房は無く、胚珠は露出しています。丸い粒のようなものが雌花(胚珠)で、わずかに出っ張った部分に珠孔があります。
さて、今日は2種類のクモを紹介しましょう。
まずは、アオオニグモです。
アオオニグモは円網の一部が切れた“キレ網”を張りますが、普段は葉を舟型に曲げて天幕を張った中に隠れ、脚を網に繋がる糸にかけています。網に虫がかかると、振動を察知して、現場に急行して虫を捕えます。
マミジロハエトリのオスとメスもいました。
ハエトリグモの仲間は、網は張らずに徘徊生活をします。マミジロハエトリのオスは、眉が白いので、その名があります。前脚を大きく広げているのは、求愛のポーズです。
メスは食事中でした。
春を迎えて虫が出てきました。そして虫を食べるクモが出てきました。にぎやかな季節になってきました。
(山田)
溜ノ上の森で、エゴツルクビオトシブミが揺籃を作りはじめました。
エゴツルクビオトシブミは、体長6~9mmほどの小さな甲虫で、鶴のように首が長いことから“ツルクビ”の名が付けられています。
また、エゴノキを食草とし、メスは産卵時に葉を丸めて、ゆりかごのような“揺籃(ようらん)”をつくります。エゴツルクビオトシブミは、作った揺籃をそのままぶら下げておきますが、種類によっては落とすものもいて、それが“オトシブミ(落し文)”の名の由来です。
この日、10時19分に見つけたときは、すでに葉に切れ込みを入れ終り、葉を二つに折っているところでした。実際に揺籃を作るのはメスですが、写真ではオスがメスの背に乗っています。
10時26分、オトシブミが葉の先端に移動。そろそろ巻きはじめます。
10時30分、別の角度から撮っています。巻きはじめています。たぶん、この頃に卵を1個産み付けます。その後、背の上のオスは移動します。
11時16分、1/3くらい巻いたでしょうか。
11時21分、別の角度から撮っています。
11時40分、もう少しで巻き終わります。
11時44分、揺籃は完成。一仕事を終えたメスは意気揚々、バイバイして飛んでいきました。
揺籃の中に産み付けられた卵は、やがて孵化して幼虫になり、丸められた葉を食べて育ちます。
(山田)
屋敷林の低地で、ジロボウエンゴサクが咲きはじめました。
ムラサキケマンも咲きはじめています。
怪しい形をしたウラシマソウも開花です。
雌雄異株のアオキも開花が進んでいます。
下の写真は雄株の雄花。
下の写真は雌株の雌花。
当然のことですが、果実は雌株だけにできます。
この時期、花と果実が両方見られますが、果実の形はいびつで色も均一に赤くなってはいません。
じつは果実の中に、アオキミタマバエの幼虫が入り、虫こぶと化しているのです。
一方、関さんのお庭の桜。塀の外から見える染井吉野(百年桜) は散りはじめました。
大島桜も散りはじめています。
遅咲きの思川は、塀の外から見える枝でも開きはじめました。
思川の蕾の下には、ナナフシ(ナナフシモドキ)の赤ちゃんがぶら下がっていました。
(山田)
117歳の染井吉野が満開となりました。
個々の花を見ると、花の中心が緑のものと赤いものがあります。
咲きはじめは緑色で、やがて赤くなって散ります。
他の桜では、思川が咲きはじめました。
ただし、幹から直接咲く“胴咲き”のみです。塀の外から見える枝は、まだ蕾です。今後の天候しだいですが、3日後あたりは咲いていると思います。
また、サクランボの佐藤錦も開花しました。
美味しいサクランボを期待したいのですが、1本だけなので残念ですが結実しません。
一方、熊野権現の塚ではケマルバスミレが咲きはじめました。
さて、4月3日(日)の10時~14時、関さんのお庭を公開します。
サクラは6種類(染井吉野、大島桜、紅枝垂れ桜、豆桜、佐藤錦、思川)が咲いています。
他にも、ハナモモ、アケビ、カントウタンポポ、タチツボスミレ、ケマルバスミレなどが咲いています。
(山田)
溜ノ上の森の早春の植物を紹介します。
まずは常緑樹から。
早春に咲くヒサカキの花は、すでに満開です。
この花は、都市ガスのような匂いを放ちます。ハチやチョウなどが活動する前は、ハエくらいしかいないので、ハエを呼んで花粉を運んでもらうためです。
アオキは、花が咲きはじめました。
アオキは雌雄異株で、先に雄株の雄花が咲きはじめます。写真は雄花で、黄色く見えるのが雄しべです。
現在、雌花はほとんど咲いていません。
次は落葉樹。
落葉低木の、ウグイスカグラが見頃です。
落葉小低木の、モミジイチゴも見頃です。
落葉つる性の木本、ミツバアケビの花も咲きはじめました。
雌雄異花で、上の大きな花が雌花、雄花は下の方に複数個集まって咲いています。
一方、まだ新芽が伸び始めたばかりの落葉樹もあります。
下の写真は、ハリギリです。まだ冬芽がふくらんだ状態です。
クサギは葉が伸び始めてきましたが、面白い形ですね。
ガマズミも面白い形。頭の上で手を組んでいるように見えますが、手に相当するのが葉、頭に相当する部分は花芽です。
ゴンズイは葉が開きはじめてきました。
(山田)
関さんのお庭の、『百年桜』(樹齢117歳のソメイヨシノ)が十輪以上咲きました。気象庁の定義でも開花です。
樹の下(正門の外)に解説ラベルをたててあります。
オオシマザクラも十輪咲きました。
オオシマザクラも道に張り出した枝があるので、外からでもよく見えます。解説ラベルをぶら下げておきました。
一方、外からは見えにくい位置のマメザクラは、一分咲きです。
広義のサクラ属(Prunus)に含まれるスモモは二分咲きです。このスモモは、樹齢100年超と思われます。
さらに、ハナモモは満開です。
ハナモモの一品種(照手白)は、明日あたり開花すると思います。
お庭の公開は、4月3日の『春の臨時公開』までお待ちください。
(山田)
今日は関さんの森の作業の日。
つる植物の移植、花壇整備、危険木の撤去、蔵の整備などをおこないました。
たとえば、下の写真は、花壇の整備です。
一方、下の写真は、関家の二番蔵「新蔵」。
2階の床を補強し、照明装置を設置しました。
ここには、江戸時代に使われていたであろう駕籠があります。
現在、蔵の収納物のリストを作成しています。床を補強し、照明をつけたことで、調査の進展が期待されます。駕籠などの収納物についても、公開・展示をすすめていきたいと思います。
ところで、関さんのお庭では、3種類目のサクラ、ベニシダレザクラが咲きはじめました。福島は三春の『滝桜』の子孫です。
樹齢117歳のソメイヨシノは、明日か明後日には咲きはじめそうです。
本日の作業や会議が終わった頃、ルリビタキ(メス)が出現しました。2年連続で関さんの森で冬を越しましたが、そろそろ山に帰るころです。
(山田)